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「保久呂天皇」は、1954(昭和29)年「群像」に発表された坂口安吾の短編作品。保久呂(ほくろ)という山奥の小さな部落。狭い部落社会における人間関係の濃密さ、排他的な体質が、”事件”を通して浮き彫りになる。

作品データ

作品名 保久呂天皇
作品名読み ほくろてんのう
url(青空文庫) https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42971_24345.html
作者名 坂口 安吾
発表年 1954(昭和29)年
ジャンル 人間/社会
読了時間目安 33分
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あらすじ

中平が所有する大金が盗まれ、部落は大騒動となる。中平は年来仲の悪い三吉と久作を犯人と疑い、特に久作が五年かけて作った石室に金を隠していると確信する。中平は部落の者を集め、久作の石室を解体することを提案。久作は濡れ衣を着せられたまま石室に閉じこもり、やがて神がかり的な状態となる。その後、警察の指示で石室は解体されるが、金は見つからない。代わりに久作が作った「保久呂天皇系図」が見つかり、石室が天皇のミササギだったことが判明。久作は解放されるが、リンゴ園の木を全て切り倒した後、自害する。

作品の特徴

主要登場人物人数 3
男女比 男3
表現的特徴・キーワード 部落
時代 昭和以降
舞台の国/地名/土地柄など

登場人物

★中平: リンゴ園で成功し、部落一の金持ちになった男。 ★久作: 「メートル法の久作」と呼ばれる変わり者。過去の事業に失敗し、現在は貧乏。 ★三吉: 保久呂湯の経営者。家伝の霊薬(実際はまがい物)を売って儲けている。

出典:青空文庫