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「犯人」は、1953(昭和28)年「群像」に発表された坂口安吾の短編作品。女行者が殺された山村で、医師が疑われ、少年が真犯人を名乗り出る

作品データ

作品名 犯人
作品名読み はんにん
url(青空文庫) https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45934_39307.html
作者名 坂口 安吾
発表年 1953(昭和28)年
ジャンル サスペンス
読了時間目安 33分
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あらすじ

山奥の村で、日蓮宗の女行者サヨが殺害される事件が発生。村唯一の医師・人見は、駐在巡査と共に現場へ赴く。捜査が進む中、人見は過去の会話や状況から、小学校教師の花井が犯人ではないかと疑い始める。 しかし、事件は思わぬ方向へ展開。新聞記者・毛里の登場により、人見自身に容疑が向けられる。人見は身の潔白を証明しようと奔走するが、状況証拠や証言は彼に不利なものばかり。心身ともに追い詰められた人見は、ついに倒れてしまう。 一方、事件の真相は意外なところに。浮浪児の仁吉が、サヨに頼まれ殺害したことを自白する。仁吉の証言により、サヨは自ら命を絶ちたいと願っていたこと、そして人見は無実であることが明らかになる。 事件は解決したが、その裏で花井はサヨと人見の関係を疑い、発狂してしまう。花井は、人見が平戸先生にも関係を持っていたと決めつけ、彼を糾弾する。しかし、平戸先生は人見の患者であり、二人の間に特別な関係はなかった。

作品の特徴

主要登場人物人数 8
男女比 男6女2
表現的特徴・キーワード
時代 昭和以降
舞台の国/地名/土地柄など

登場人物

★人見医師: 村で唯一の医師。サヨ殺害事件の第一発見者となり、容疑者として疑われる。 ★花井訓導: 小学校教師。サヨの死を予言し、事件後は人見に対してよそよそしい態度をとる。後に発狂し、人見を犯人だと決めつける。 ★平戸先生: 小学校教師。花井に求婚されたが拒絶したという噂がある。美人で、人見の患者でもある。 ★サヨ: 被害者。日蓮宗の女行者。かつて東京で女中奉公をしていた。夫の死後、淫乱な噂があり、生活のために男と関係を持っていた。 ★仁吉: 浮浪児。サヨ殺害事件の真犯人。サヨに懇願され、殺害を実行する。 ★里村巡査: 村の駐在巡査。サヨ殺害事件の捜査を担当する。 ★毛里: 県都の新聞記者。人見に事件に関する手記を書くよう迫る。人見を犯人だと確信し、執拗に追い詰める。 ★警部: 捜査本部の警部。冷静に事件の真相を見極めようとする。

出典:青空文庫