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「花咲ける石」は、1954(昭和29)年「週刊朝日別冊」に発表された坂口安吾の短編作品。剣術が盛んな山間地帯を舞台に、伝説的な剣豪・楳本法神と高弟・須田房吉の物語

作品データ

作品名 花咲ける石
作品名読み はなさけるいし
url(青空文庫) https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/43244_24427.html
作者名 坂口 安吾
発表年 1954(昭和29)年
ジャンル 歴史・時代物
読了時間目安 30分
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あらすじ

舞台は幕末の群馬県利根郡。山間の小さな村々には剣術道場があり、人々は皆、剣の腕を磨いていた。そんな利根郡に、ある日、風のように現れた剣の達人、楳本(うめもと)法神(藤井右門太)。彼は卓越した剣技と医学の知識、高潔な人格で人々から「今牛若」と称えられた。 法神の高弟の中でも特に強かったのが須田房吉である。幼い頃から類まれな才能と努力で剣聖の境地に達した房吉は、師匠の法神とともに江戸へ赴き、道場を開く。房吉の強さは江戸でも評判となり、多くの他流試合で勝利を収めるが、その強さゆえに恨みを買うこととなる。 一方、薗原村の庄屋で剣術使いの中沢伊之吉は、房吉の評判に嫉妬し、江戸の師匠である山崎孫七郎とともに房吉を討ち取る計画を立てる。彼らは卑劣な手段を用いて房吉を襲撃するが、房吉は持ち前の剣技で応戦する。しかし、不運にも深田にはまり、鉄砲で撃たれて命を落とす。 房吉の死後、彼の舅は江戸の奉行所に訴え、山崎ら一味は有罪となる。房吉の死は多くの人々に衝撃を与え、彼の強さと人柄は改めて称えられた。

作品の特徴

主要登場人物人数 5
男女比 男5
表現的特徴・キーワード 剣術
時代 江戸
舞台の国/地名/土地柄など

登場人物

★楳本法神(藤井右門太): 金沢出身の剣の達人。医学にも通じ、人格者。人々から「今牛若」と称される。 ★須田房吉(星野加賀之助): 法神の高弟で、作中最強の剣士。絵や文学にも造詣が深い。 ★犬坂伴五郎: 貧乏御家人だが剣術に長けている。房吉の強さに目をつけ、江戸に連れて行く。 ★中沢伊之吉: 薗原村の庄屋で剣術使い。房吉に嫉妬し、山崎孫七郎と共謀して房吉を殺害する。 ★山崎孫七郎: 江戸浅草で神道一心流の道場を開く剣客。伊之吉の依頼で房吉と対決する。

出典:青空文庫