「発掘した美女」は、1953(昭和28)年「講談倶楽部」に発表された坂口安吾の中編作品。都会の常識が通用しない田舎での奇妙な体験を通して、人間の愚かさや自然の偉大さを描いたユーモラスな物語
作品データ
作品名 | 発掘した美女 |
作品名読み | はっくつしたびじょ |
url(青空文庫) | https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42958_35649.html |
作者名 | 坂口 安吾 |
発表年 | 1953(昭和28)年 |
ジャンル | 恋愛/コメディ |
読了時間目安 | 36分 |
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あらすじ
梅玉堂は東京の老舗菓子店の主人。見合をした初音さんに一目惚れするも、初音さんは梅玉堂の求婚を断る。梅玉堂の息子・一夫は、父を心配し、初音さんを説得して3人で温泉旅行に行くことに。
旅先は黒滝温泉。都会とはかけ離れた原始的な温泉宿で、彼らは奇妙な体験をする。宿の主人は木ノ葉天狗のような老人、案内人はおにぎりのような老人。そして、宿には美しい娘・お花がいるが、彼女は滝つぼで用を足すという奇妙な習慣を持っていた。
一夫はお花に夢中になり、梅玉堂は初音さんと共に険しい山道を登り、洞窟を探検する。洞窟の中で、初音さんは梅玉堂への愛を告白し、二人は結ばれる。
しかし、宿に戻ると、お握りの老人がお花は精神病だと告げる。実はこの温泉は精神病に効くという言い伝えがあり、滝つぼで用を足すのは精神病の症状だったのだ。
作品の特徴
主要登場人物人数 | 6 |
男女比 | 男4女2 |
表現的特徴・キーワード | |
時代 | |
舞台の国/地名/土地柄など |
登場人物
★梅玉堂(ばいぎょくどう): 東京の老舗菓子店の主人。53歳。太っていて神経衰弱気味。初音に見合いをして恋に落ちる。 ★初音(はつね): 梅玉堂が見合いをした女性。30歳。美人だが、わがままで結婚には消極的。 ★一夫(かずお): 梅玉堂の息子。大学生。父親の恋を応援し、初音との仲を取り持とうとする。 ★木ノ葉天狗のような老人: 黒滝温泉の旅館の主人。無愛想だが、実は親切で、温泉や周辺の地理に詳しい。 ★お握りのような老人 黒滝温泉の案内人。温泉周辺の地理や歴史に詳しく、一行を案内する。 ★お花: 旅館の孫娘。美人だが、精神を病んでおり、滝つぼで用を足すなどの奇行が目立つ。
出典:青空文庫