「女体」は、1946(昭和21)年「文藝春秋」に発表された坂口安吾の中編作品。芸術、官能、献身、そして男女の複雑な感情の交錯
作品データ
作品名 | 女体 |
作品名読み | にょたい |
url(青空文庫) | https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42894_35389.html |
作者名 | 坂口 安吾 |
発表年 | 1946(昭和21)年 |
ジャンル | 官能・耽美/人間 |
読了時間目安 | 39分 |
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あらすじ
岡本は年老いた画家であり、かつては名声を得ていたものの、現在は衰退し、谷村に経済的に依存していた。彼の生活は放蕩と官能に支配され、芸術への情熱を失ったかのようだった。谷村は岡本の求めに応じて金を貸し続けるが、次第に彼の堕落に嫌気がさし、ある日、岡本に対して感情を爆発させる。その際、岡本の無様な姿に同情しつつも、彼の卑しさを感じずにはいられない。
一方、谷村の妻・素子は、岡本とのやり取りを冷静に見つめ、谷村に対して皮肉を言う。彼女は、岡本の芸術家としての虚勢と、彼の生き様に対して冷淡な見方を持っていた。
谷村は素子の情欲と献身に翻弄され、彼女との関係に深い矛盾を感じながらも、情欲と献身が切り離された別の本能として、素子の中で存在していることを理解しつつ、彼はその魅力と憎しみに引き裂かれた。谷村は、最終的に素子との関係に絶望し、女性全体に対する深い不信感と憎悪を抱くようになる。
作品の特徴
主要登場人物人数 | 3 |
男女比 | 男2女3 |
表現的特徴・キーワード | |
時代 | 昭和以降 |
舞台の国/地名/土地柄など |
登場人物
★谷村:物語の主人公であり、画家の岡本に対して絵の生徒として関わっている。彼は病弱で、肋膜炎やカリエスといった健康問題を抱え、妻の素子と複雑な関係を持ちながら生活している。谷村は、岡本の堕落した生活や自身の内面の葛藤、妻の情欲や献身に対して思索する人物として描かれる。 ★素子(もとこ):谷村の妻であり、彼に対して献身的に看病しながらも、情欲的な一面も持っている女性。素子は、愛情と情欲、献身と残酷さといった相反する感情や行動を見せ、谷村との関係において複雑な役割を果たす。彼女は谷村にとって魅力的でありながら、時に彼を苦しめる存在でもある。 ★岡本:谷村夫妻の絵の先生であり、かつては名声を得ていたが、現在では生活が荒れており、芸術家としての情熱を失い、官能的な快楽に溺れている。彼は谷村に対して金銭的に依存しており、堕落した生活を送る一方で、自らを天才と称し続ける。谷村に批判され、狼狽する場面が描かれる。
出典:青空文庫