蒼茫夢

「蒼茫夢」は、1935（昭和10）年「作品」に発表された坂口安吾の中編作品。自殺未遂を繰り返す当太郎と、彼を取り巻く草吉、忍、弥生の複雑な人間関係

草吉は、かつて港の酒場で知り合った当太郎が自殺未遂をしたことを知る。当太郎は、忍の異母妹である弥生に求婚するも、その後再び自殺を図る。草吉は弥生と共に当太郎の元へ向かい、彼の自殺未遂を目の当たりにする。当太郎は再び自殺を図るが未遂に終わり、草吉と弥生は東京からの知らせで再び彼の元へ向かう。 当太郎の度重なる自殺未遂と、それに対する周囲の人々の反応が、人間の複雑な感情や人間関係を浮かび上がらせる。草吉は当太郎の自殺未遂に複雑な感情を抱き、弥生は当太郎への恋心と彼の行動への戸惑いの間で揺れ動く。忍は当太郎の自殺未遂を冷めた目で見ている。 物語は、当太郎の自殺未遂を通して、人間の孤独、絶望、そして生きる意味を探求している。

出典：青空文庫