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「影のない犯人」は、1953(昭和28)年「別冊小説新潮」に発表された坂口安吾の短編作品。犯人探しを読者に委ねられた挑戦的な探偵小説となっている。

作品データ

作品名 影のない犯人
作品名読み かげのないはんにん
url(青空文庫) https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42955_34953.html
作者名 坂口 安吾
発表年
ジャンル 推理・ミステリー
読了時間目安 28分
おすすめ

あらすじ

温泉都市にある前山別荘で、当主の一作が原因不明の病気で亡くなる。別荘の隣にある並木病院の並木医師は、前山家の広大な別荘を手に入れ医学旅館を開業したいと願っていたため、一作の死は並木による毒殺ではないかと疑われる。 一方、別荘に住む剣術家の玄斎と画家の狂六も、前山家の遺産を狙っていると噂される。彼らは、前山家の後妻である絶世の美女・花子夫人にそれぞれ想いを寄せていた。 花子夫人は、並木医師の診察を拒否し、他の医者を選んだ。その後、花子夫人は行方をくらまし、長男の光一は、並木、玄斎、狂六の誰かが父親を殺したのではないかと疑う。 しかし、真犯人は別にいた。それは、前山家の財産を狙う光一自身だった。光一は、花子夫人に恋人ができるよう仕向け、彼女が家出するように誘導していたのだ。 物語は、誰が犯人であっても構わないような無関心な時代の中で、それぞれの思惑が交錯する様子を描いている。

作品の特徴

主要登場人物人数 6
男女比 男5女1
表現的特徴・キーワード
時代 昭和以降
舞台の国/地名/土地柄など

登場人物

並木先生: 並木病院の主人。前山別荘を手に入れて医学旅館を開業したいと願っている。 牛久玄斎先生: 剣術使い。前山別荘に住み込み、剣術を教えている。 石川狂六先生: 木彫家であり南画家。前山別荘に住み込み、創作活動をしている。 前山一作: 前山家の当主。原因不明の病気で亡くなる。 花子夫人: 一作の後妻。絶世の美女。 前山光一: 一作の長男。花子夫人とは血縁関係がない。 マリ子: 光一の妹。 太田先生: 並木先生の代わりに前山一作を診察した医師。 お作: 存八が想いを寄せる村の娘。 特に物語の核となるのは、並木、玄斎、狂六の三先生と、前山一作、花子夫人、光一の6人

出典:青空文庫